441 :木登り続編 :2005/12/29(木) 23:40:40 ID:dBE9b7/k

<ファントム>


クリスティーヌの顔から辛そうな表情が消えていくのにそう時間はかからなかった。

ゆっくりと動く私に合わせて、その唇から可愛い喘ぎ声がもれはじめる。

ああ、おまえのその声はなんと耳に心地よく響くのだろう。

同じ唇から発せられるというのに、いつも耳にする歌声とは全く違う、淫らな響きを含んだその声音――

昨夜は苦痛でしかなかった行為の中から、今おまえは快楽を学び始めている。

自らの身体の奥から湧き上がる悦びの渦に圧倒され、その受け止め方がわからず戸惑うおまえの姿を見ていると、

愛しくてたまらず自制心を失いそうになる。


彼女の細い指が私の腕にすがりつくように絡まってくる。

その愛らしい唇からは喘ぎ声だけでなく、私を呼ぶ甘い声が繰り返される。

「ああ…マスター…マスター…」

クリスティーヌ、私は絶対におまえを手放さない――


クリスティーヌの表情をあの男に見せるのが惜しくなり、

私は彼女の腰を抱き寄せ、そのまま抱え上げて私の脚の上に乗せた。

繋がりが浅くなるので、細い腰を引き寄せてさらに脚を開かせる。

突然私の上に乗せられたクリスティーヌが抵抗しはじめた。


「あ!…いや!マスター、こんな…こんなことは…いや…!」

私を押して離れようとする彼女を大きく抱きしめ、優しく拘束する。

そしてその耳元で囁く。

「クリスティーヌ…クリスティーヌ。じっとして……恥ずかしがることはないよ。

 お前は知らないだろうが、男と女なら誰だってすることなのだから」


「…?ああ……でも、でもいや…、恥ずかしい……!」

羞恥に頬を染める彼女の眸を見つめ、唇の前に人差し指を当てて囁くように言う。

「シーッ、さあ…私に任せて…いい子だ…」


恥ずかしさに俯く彼女の髪を撫で、かき寄せて首筋に口づける。

そして納得しないながらも抵抗をやめた彼女の身体をきつく抱いたまま、腰を突き上げた。

「あっ…!」

身体の奥深くまで届く私自身の感触に、眸を閉じて顎を上げるクリスティーヌ。

初めての感覚に戸惑っているのか、私が動くたびにクリスティーヌが乱れて行く。

眉を寄せ、息が荒くなってくる。

自分を襲う快感をどうしたら良いのかわからないような表情とその反応が初々しく、

可愛いくてたまらない。

いつの間にか私にしがみつき、シャツを握り締め、心地よさを堪えるように首を左右に揺らす。

そのたびにゆらめく長い髪が艶かしい。



しばらくその淫らな姿と、私を包み込み、締め付ける彼女自身の感覚を堪能してから、

可愛らしい声を上げるクリスティーヌの唇を舐め、舌を差し入れて口づけた。

切ない吐息とともにおずおずと口づけを返してくる彼女が愛しい。

こうして肌を寄せ合っていると、彼女の肌のほのかに甘い香りが私を包み込んでくる。

その甘い香りは私を酔わせ、更なる欲望を煽る。

もっとその肌を曝け出させ、撫で、舐め、自分だけのものだと確認したい。


私の背にまわった腕をほどき、首筋から肩へと両手をすべらせて

彼女のシュミーズの肩紐を落としていく。

それは彼女の腰までするりとすべり落ち、白い上半身が私の前で剥き出しになった。

反射的に胸の前に合わされた彼女の両手首を掴み、繋がったままクリスティーヌの上半身を反らせ、

ゆっくりと左右に広げさせていった。

「あ!…ああ…」

私の目前に裸体を晒す恥ずかしさに、固く瞼を閉じて顔を真横に背けるクリスティーヌ。

羞恥に震える長い睫が頬に影を落としている。

その横顔をあの男も見ていることだろう。

月の光りに浮かび上がる、剥き出しの白い背中とともに。



月明かりを背にして、昨夜飽くことなく愛撫した彼女の身体が、今また目の前に息づいていた。

鎖骨からなめらかな曲線を描く胸のふくらみ、ほのかに色づくその先端。

息のかかる程の距離から見つめられることに耐え切れなくなったのか、

再び腕を合わせようと身を捩るが、その両腕は私に自由を奪われたままだ。

私に身体の中心を貫かれながら顔を背け、荒い呼吸に曝け出した胸を上下させているクリスティーヌ…


おまえの身体をこうして思うままに開かせることができるのは私だけだ――


そっと右手だけを離し、可愛い顎に手をかけて背けた顔をこちらへ上げさせる。

クリスティーヌが恥じらいに眸を揺らめかせながら私を見つめた。

その濡れた眸と視線を絡ませる。

「クリスティーヌ…おまえの全ては、私のものだ…」

顎にかけた指をゆっくり下ろしていく。

ほんの指先だけを、その顎から細い喉元へ、鎖骨へ、胸のふくらみへ――

指と共に、視線も落としていく私を、彼女は羞恥に耐え、震えながら見つめている。



「……ああ!!」

指が胸の先端へ触れた瞬間、クリスティーヌが身体を捩って喘いだ。

彼女の中がうねって私自身を締め付ける。

もう、彼女も私も指先で触れるだけでは我慢できない。

指だけでなく右手全体で彼女の胸を手荒く掴み、左手をその背に這わせていく。

吸い付くような滑らかな肌。柔らかな膨らみ。

いっそう喘いで反らせた細い腰を左手で支え、彼女の胸に顔を埋める。

その心地よさ、柔らかさ、胸を満たす甘い香り。

胸の開いたドレスでも見えないような位置に口づけし、そこに紅く私の印を刻んだ。


その肌を思う存分味わいながら、片手で自分のシャツのボタンを外していく。

クリスティーヌの肌を直に感じたい。

彼女のすべらかな肌と肌を合わせ、その柔らかな胸を私の胸に直に抱きしめたい――

その肌を全身で感じながら、彼女のより奥深くへと入りたい――


ボタンが外れシャツの前がはだけたが、私の手はシャツを脱ぐよりも再び彼女の身体へと伸びてしまう。

一時でもその肌から離れるのが惜しい。

と、肩に置かれていたクリスティーヌの手が私の胸に触れた。

少し首を傾げ、切ない吐息を洩らしながらためらいがちに私を見つめると、

白い手をシャツの上から中へとすべらせて行く。

肌と肌が直に触れ合う。


その手は手触りを確かめるように私の胸を数回撫でてから、徐々にシャツの中を私の肩へと移動してい

った。

彼女の手でシャツが押しやられ、私の肩が露出する。

「クリスティーヌ……」

そしてそっと私の胸に頬を寄せてきた。

おまえも私の肌に触れたいと、私と肌を合わせたいと思ってくれるのか。

昨夜、強引にその身体を自分のものにしてしまったこの私と――


――昨夜のおまえは、吹き荒れる嵐に放り込まれた可憐な蕾だった。

ただなすすべも無く翻弄され、まだ固い花びらを蹂躙され――

私のやりように耐えるおまえの、なんと健気で愛らしかったことか。

これからおまえの官能の花びらを1枚1枚あでやかに開花させて行こう。

この私の手で。



彼女へのよりいっそうの愛しさがこみ上げ、手早くシャツを脱ぎ捨てて

クリスティーヌを抱きしめた。

身体をぴったりと密着させ、その肌の心地よさに陶然とする。

ああ、クリスティーヌ、クリスティーヌ……


その背中から手を回し、白い両肩を掴んで下から突き上げる。

動きに合わせて彼女の身体がびくびくと反応する。

クリスティーヌの息が浅く、早くなって行く。

すでに蕩けるように私を包むその部分がきつく私を締め付け始めた。

こんなにも感じているクリスティーヌをこのまま逝かせてやりたいとも思ったが、

私はあえて動きを止めた。


まだだ。

もっとクリスティーヌを乱れさせたい。

彼女が自分から私を求める姿をあの男に見せてやろう。

窓から覗かずにいられないほどに思いをかけ、恋した女が、

他の男を求め、愛の行為に乱れ、快楽によがり狂うさまを見ても

あの男はその恋心を持ち続けられるものかどうか?


私の耳元で今にも達しそうに喘いでいた彼女が、しがみついたまま、

突然途絶えた快楽の名残を探すかのように私を見上げる。

「…あぁ…マスター……?」

両手で彼女の髪を撫で、彼女の切ない眸を見つめて耳元で囁く。

「クリスティーヌ……、自分で動いてごらん」



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