526 :1/3:2006/01/11(水) 13:50:06 ID:JyVtYSkw

「ずいぶんと、ごゆっくりでしたのね」

楽屋の扉を開くと、とたんに不機嫌そうな声が飛んでくる。

どうやら自分がどこで道草を食っていたのか、もう知っているようだ。

おそらくなかなか現れないのに業を煮やして、

付き人を見に行かせたのだろう。

苦笑しながら視線をやると、もう馴染みになった付き人の少女は

如才なく視線を逸らせた。


「そうだね、ダーエの楽屋に寄っていてね」

とっくに知ってはいるだろうが、何食わぬ顔で応える。

鏡に向かって髪を梳かしていた恋人は、キッと振り返った。

「でしたら、そのままダーエのところにいらしたらよかったのに」

ガウンに着替え、湯まで使った後のようで、

フィリップは改めてダーエの楽屋で過ごした時間の長さを思った。

「違うのだよ。ダーエに用があったのはラウルの方だ」

「弟さん?」

鏡のほうに向き直り、まだ刺々しい口調のソレリの横に腰掛ける。

「そう。あれはどうやらダーエに熱を上げているようでね」

「それでお兄様がわざわざ付き添って行かれたの」

「ああ。それ以上の何がある?…まさか、私を疑っているのではあるまいね。

 君が私にスパッツまで預けるから、私は友人たちから

ソレリの靴下係とからかわれているんだよ?」

ソレリの手からブラシをそっと取り上げ、鏡台に置く。

「こんなに君に尽くしている私に他所へ行けとは、

ちょっと冷たいのではないかね?」 

口を尖らせてそっぽを向いたソレリを、

フィリップは哀れっぽく囁くきながら抱き上げた。

形ばかりの抵抗を意に介さず、長椅子に横たえる。


「…プリマバレリーナの脚に何かあっては大変だ。

靴下係である以上、異常がないかは私が確かめねば」

そう言うと、自分も足元に腰掛け、両足首を掴み膝の上に乗せる。

「フィリップ…」

咎めるような口調だが、拒む風はない。

目の端に付き人の少女が、そっと出てゆくのが見えた。

憚る者がいなくなり、フィリップは唇の端に笑みを浮かべると

無造作に片足を手に取った。

掌で包むように弄ぶ。ソレリの唇が薄く開いた。

小さな足の甲に唇を寄せる。湯に垂らしたのだろう香油が香る。

ゆっくりと骨に沿って足首まで舐め上げると、喉を鳴らす音が聞こえた。

膝までをキスで埋め、そのまま握っていた足首を肩に掛ける。


「フィリップ…止めて…」

止める声に小さな喘ぎが混ざり、もはやねだっているようにしか聞こえない。

「…まだ、ちゃんと確かめていないよ」

膝を抱え上げ、殊更にゆっくりと腿の内側に舌を這わせた。

背で足先がびくびくと揺れている。

脚の付け根の、薄く張り詰めた皮膚に何度も舌を往復させる。

「…こら」

小さなかかとが背を蹴りつけるようになり、フィリップは苦笑しながら顔を上げた。

「だって…」

つぶやきながら尖らす唇に自分のそれを重ねる。

そのまま歯列を抉じ開けるように舌をねじ込むと、

柔らかい舌が待ちかねたように絡められた。


しばらく無言でお互いの口を貪り合って、大きく息をつきながら顔を離す。

「…そろそろ、機嫌を直してくれたかね」

「…まだよ」

息を弾ませながら微笑む。その唇をもう一度奪いながら胸元へ手を差し入れた。

柔らかく手になじむ乳房は、もうその先端を硬く尖らせている。

掌で捏ねるように揉みこみながら、圧し掛かる。


「ああ…ッ…はあ…!」

口が離れた瞬間、大きく喘ぎながらがくりと首を反らす。

フィリップはその首筋を強く吸いたてた。

そろそろと手を下に滑らせ、ガウンの裾を捲り上げた。

「もう、いいようだ…」

「やあ…!」

すっかり潤ったその部分を撫でてやると、かわいらしく腰をくねらせる。

「この私が”美しきソレリ”の楽屋に入る権利を、他の男に譲るとでも思っているのか?」

言いざまに、すっかりと立ち上がった己をソレリに突き立てる。

「君は、こうされるのが好きだったね」

ゆっくりと回すように腰を動かす。

「あ、ああ…好きなんかじゃ、ないわ…」

「…強情っぱりめ…」

すすり泣きのような喘ぎが、だんだんと切羽詰ったものに変わってゆく。

眉が切なそうに寄せられ、長いすの背を握る指は関節が白くなっている。

締め付ける内部が細かくひくつきだし、フィリップは腰を送込む速度を速めた。

「フィリップ!ああっ!」

弾けるように身体を反らして絶頂を迎えた恋人を目に映しながら、

フィリップもまたソレリの中に放っていた。

「…で、ご機嫌は直して頂けたのかな?」

「いいわ。許して差し上げる」

つんと反らした頭を抱いて、その柔らかな巻き毛を梳きながら、

フィリップは笑みを浮かべた。

(さて、意外とやり手のわが弟も、今ごろはうまくやっているだろうか?)

「…何笑ってらっしゃるの?」

「さて…なんだろうね」

フィリップは肩をすくめると、恋人の頭をぽんぽんと押さえた。




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