目を開け、男の顔を窺い見る。

男が酷薄そうな瞳をして私を見つめていた。

「ふん、すぐにも弄ってもらえると思っていたんだな?」

どうしてこの男はいちいち女に恥をかかせずにはいられない質なんだろう。

「違うわ・・・、そんなこと、な、・・・い・・・」

男の視線に射すくめられて、語尾が消え入りそうになってしまう。

「そんなことないわけないだろう・・・」

男がゆっくりと言いながら、秘裂をなぞりあげた。

「ひぃっ・・・!」

思わず洩らしてしまった声に、男がかぶせるように言い放つ。

「そらみろ、弄って欲しくてたまらなかったんだろ?

 それに、すごい濡れようじゃないか・・・」

そう言いながら男の指が秘裂を何度も往復し、そのたび腰をよじってしまう。

男の太い指が肉の合わせ目をこすり上げ、その動きにあわせて陰唇がめくり上がり、

粘膜を露出させていっているのがわかる。

「くぅっ・・・」

声だけはあげたくなくて我慢しているのに、呻き声が出てしまう。

額にじっとりと汗が滲み、目じりからは涙が流れた。


男の指がクリトリスに触れた。

「あぁっ!」

思わず声が出てしまった。

男の「ふっ」というせせら笑いが微かに聞こえた。

「ここを弄ってもらってそんなに嬉しいのか」

悔しいのに、腰が揺らめいてしまう。

「嬉しいらしいな、そんなに腰を振っているところをみると」

私の身体の動きに気をよくした男が、さらにクリトリスを責める。

包皮の上から揉み込むように捏ねられたかと思うと、器用に包皮から剥き出して爪で弾かれる。

爪先と指の腹で挟まれてこすられる。

「あぁ・・・、あっ、あぁ・・・ん・・・」

男の指が動きを加えるたび、どんなに我慢しても喘ぎ声が洩れてしまう。

腰が自分の意思とは関係なく前後左右に揺らめき、しがみつける何かを探して

指が壁をさまよってしまう。

男がふと身を屈めたと思うと、乳首を咥えられた。

硬くなったままの乳首を舌でぐるりとまわされ、甘噛みされる。

クリトリスを責める指の動きはそのままで、乳首を舌でねぶられると、

鋭い快感が両方から身体中を苛み、自然と背がのけぞってしまう。

男の指は太くて無骨な感じがするのに、動きはその見かけからは想像できないほど繊細で、

クリトリスと陰唇とがその動きに翻弄され、声を我慢することなどもうできなくなっていた。

「ああっ! ああ・・・・・・」

男の指が膣に入ってきた。

あの太い指がなかをかき混ぜ、粘膜をこすり上げる様子を想像しただけで

腰がもぞもぞと動いてしまう。

「ずいぶんと滑りがいいな」

膣口をほぐすように指を出し入れされながらそんなことを言われ、

恥ずかしいのに身体が勝手に指を締めつけてしまう。

「ふっ、そんなに指を締めつけるなよ、いやらしい女だな」

「ああ・・・」


屈辱のあまり、ふたたび涙が滲んだ。


男が指を鉤に曲げたのだろう、指のあたる箇所が変わった。

「あぁっ、くぅ・・・」

天井を鉤で引っ掻かれ、思わず声が出る。

男の指が出入りするたび、なかから蜜が流れ出しているのがわかる。


乳首を舐めまわされ、膣に何度も指を出し入れされ、息も絶え絶えになったころ、

ようやく男が指を抜き、私の脚を下ろすと、肩に手を掛けて身体を引っくり返された。

下がってしまった寝間着の裾をふたたびまくり上げられ、腰を掴まれた。

臀肉を撫でまわされる。

「あぁ・・・」

「もっと尻を突き出すんだ」

羞恥に身悶えしながら、壁に手をつき、男に差し出すような気持ちで臀を持ち上げた。

男がじっと私の臀を見つめる気配に、思わず腰がうねってしまう。

「そんなに尻を振って・・・、誘っているつもりか・・・?」

「ち、違・・・」

「・・・たっぷりと逝かせてやるよ」

男の低い声が耳元でした瞬間、腰を掴まれ、すぐに熱く硬い男の先端が膣に入ってきた。

一寸刻みに犯すように、少しずつ入ってくる。

襞を押し分け、肉をくつろげながら入ってくる男のものが灼けつくように熱い。

「あぁっ! あああぁぁぁ・・・っ!」

なかなか前へと腰を進めてくれない男に焦れて、思わず「ああ、お願い・・・!」と

叫んでいる自分がいた。

「まったく、いやらしい女だな・・・」

と男がつぶやき、次の刹那、男のものを根元まで埋め込まれた。


男が私の腰を掴んで抽迭を繰り返している。

肉と粘膜とがこすれ合い、こすれ合うたび耳を塞ぎたくなるような水音がする。

自分の口からははっきりとよがり声が洩れ、その声と水音を聞きながら、

摩擦が生み出す快感をもっと得たくて自ら腰を振ってしまう。

「あぁっ、いい・・・、いいの、・・・いいの・・・」

「ふん、そんなにいいのか・・・、淫乱め・・・」

男の言葉とあまりの快感とに、泣きながら腰を振る。


後ろから男の手がまわされ、乳房を揉まれた。

乱暴に揉みしだいた後、乳首を摘ままれる。

「あぁんっ、だめ・・・! ああ・・・、」

「だめということはなかろう、こんなに乳首を硬くしているくせに・・・」

ぐりぐりと乳首を捻られ、甘い痺れのような快感が全身を駆け巡る。

身体の奥底が切なく疼く。

乳首を責められながら、激しく腰を叩き込んでくる男の動きに陶然とする。

男の硬いものが粘膜をこすり上げ、襞を絡めとりながら抜き差しされて

胎内が熱く蕩けそうになる。

「ああ・・・、もう、だめ・・・」

「まだ逝くには早いぞ、」

男が言いながら、性急に腰を突き上げてくる。

身体の中心を真っ直ぐに貫かれ、臀を持って揺さぶられ、乳房を揉みしだかれる。

背筋を痺れるような快感が通り過ぎ、すぐにまた、くるめくような快感がこみ上げてくる。

「あぁ・・・、ああ、もう、もう・・・!」

「まだだ・・・」


男のものが身体の奥底を抉った。

「ああ──────っ!!!」

すでに頂上近くにまで昇りつめていたところに、深く送り込まれて私は崩壊してしまった。

肉襞が蠕動しながら男のものを締めつけている。

背筋を何度も絶頂感が駆け上がり、背を反らしても、切ない絶頂感は

行き場をなくしたように身体中を駆け巡った。


男が腰を掴んでぐいと腰を入れた。

「あぁ・・・ん・・・」

甘く切なくそそるような絶頂の余韻が蕩け出て、思わず甘い声が出てしまった。

「良かったか」

男が問うた。

「・・・」

「良かったらしいな、まだ締めつけているところを見ると」

羞恥のあまりに、ふたたび自分のなかがうねってしまった。


男が自分のものを引き抜き、床に手をついて息を整えている私の目の前に差し出す。

自分の蜜にまみれたそれを手で捧げ持ち、口に含もうとした。

「いや、手でいい」

男が言い、言われるまま手で扱くと、「くっ」と呻きとともに男が白濁した精を吐き出した。

男がハンカチを取り出し、私の手を拭いてくれる。

いつも冷たく傲慢で酷薄な男なのに、私のなかに欲望を吐き出したこともなければ、

口での奉仕を求められたこともない。

行為の後はいつもほんの少しだけ優しかった。


「では、また二週間後にな」

身なりを整えた男がそう言って扉を開けた。

男の腕の下を通って通路に出た。


部屋へと戻りながら、男が何のためにこの行動を繰り返しているのか、ぼんやりと考えた。

私と会いたいためではないことは知っていた。

男と密会するようになってしばらくした頃、冷たい男の態度に、ふと

「あなたみたいな人でも女を好きになったりするのかしらね」と言ったことがある。

その時に振り返った男の顔・・・。絶望的に望みのない恋をしている男の眸をしていた。

そして、その相手が私ではないことも知った。

さらに、自分が何でそんなことを男に言ったのかも・・・。

私は、自分でもその時まで気づいていなかったが、男の恋の相手が自分であることを

願っていたのだ。

あの男が恋する相手とは、どんな女なのだろう。

このオペラ座の女なのだろうか。

重い足取りで部屋へと戻った。二週間先の逢瀬をすでに心待ちにしながら・・・。



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