671 :
名無しさん@ピンキー
:2005/11/11(金) 16:45:20 ID:YHIYpFxH
「今夜は冷えるわね、マスター…」
私の腕の中でクリスティーヌが言う。
先程まで燃えるようにたぎっていた身体から熱が失せ、汗が引いて火照りを冷まし始めていた。
「もう11月だからね」
私がそう返すとクリスティーヌはくすり、と笑った。
「もうちょっとでアドベントよ」
私の胸に頬をくっつけ言葉を続ける。
「そうしたらすぐにクリスマスが来てニューイヤーだわ」
そう考えてみると時が経つというのはなんと早い事なのだろう。
この愛しい少女と過ごす時間は殊更だ。
だが、いつまでもこんな関係を続けるわけにもゆくまい。
クリスティーヌには歌姫としてね輝かしい未来が待っているのだから…。
その時の事を考えると私の胸は張り裂けそうなほど痛む。
だがこのクリスティーヌにだけは私の顔も、過去も知られる訳にはいかないのだ…。
「もっともっとマスターと一緒にいられればいいのに…」
私の胸中を知ってか知らずかクリスティーヌが呟いた。
私は胸がいっぱいになって、何も言えずにただキスでそれに答えた。
お前を騙すつもりは無い。
私は真実を言う勇気が無い臆病者なのだ…。
私に身体を預けて寝入ってしまったクリスティーヌに肩まで毛布をかけてやり、私は一人苦い気持ちでウィスキーをあおった。
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