788 :1/2:2005/11/21(月) 09:33:31 ID:s6mQ6lFf

オペラ座の寄宿舎の壁は薄い。

だから、今夜は隣のマリーのところに子供達が集まっているのがすぐに分かった。

マリーがおどろおどろしくファントムのことを語るのも切れ切れながら聞こえたし、

例の「顔がなかったのよ!」のところでは、怖がりのジャムを始めとする

チビ達の色とりどりの悲鳴が聞こえてきた。

そのあとも暫く笑ったりぺちゃくちゃ喋る声がしていたが、やがてそれも途絶えた。

部屋を出る気配がなかったから、皆マリーの部屋で眠ってしまったんだろう。

で、問題は、向こうの声が聞こえるということは、こっちの声も聞こえるということ。


「言ったじゃない…ダメだって…」

「いいじゃないか、寝てるんだろ?」

「でも…」

大きな手が性急に、寝間着を脱がしにかかる。

「あんたがこんなとこまで来てるの…ばれたら追い出されちゃう…ん!」

「何言ってんだ、何度も連れ込んどいて」

肌蹴た首筋に吸い付かれ、声を上げそうになるのを飲み込む。

荒い息と濡れた舌の感触が首から顎、耳へと上がってゆき、同時に薄い布地越しに乳房を鷲掴みにされた。

「や…」

「なにが嫌なもんか」

「…乱暴にするから…あ、跡になって…っ、ジリ先生に、怒られたんだからぁ…」

寝間着の中に入りこんだ掌に、乱暴に胸を揉みしだかれながら精一杯抗議する。

「ババアの言うことなんか、放っとけよ」

頭がするすると下がり、わざとらしく大きな音を立てて鎖骨を吸いたてる。

「痛…!ちょっと!」

見なくてもそれとわかる跡がついているのが分かる。きっと明日まで残るにきまってる。

抗議しようとした声も、胸の頂きを咥えられ、喉の奥で消えた。

かわりに漏れたのは押さえきれなかった嬌声。

「や…あ…んん!」

「いいのか?聞こえるぞ?」

意地悪く言って、乳房を口一杯に頬張ると、先端をねっとりと舌で嬲る。軽く歯を立てる。

身体を貫くような刺激に思わず背が撓り、切れ切れの喘ぎがだんだんと大きくなる。

すぐに寝間着の裾をまくって潜り込んだ指がくちゅくちゅと水音を立て、

準備は充分以上にできていることを知らせる。我慢できずに太い指を呑みこんだまま腰を捩らせた。

「は、早くぅ」

「待てよ…」

素早く衣服を取り去って、恋人が取り出した彼自身を入り口にあてがう。

次の瞬間一気に埋め込まれたそれを締め付けながら、私は一際大きな悦びの声を上げた。


「それでね、だんだんくるしそうな声が大きくなるし、泣いてるみたいな声もするし、

何回も"死んじゃう!"って聞こえるから、様子を見に行こうとしたの。

そうしたら寝てたと思ったんだけどマリー姉さんが起きてて、"いつものことだから

放っときなさい"って言うの。 しーってしながら"大人になったら分かる"って笑うのよ。

ね、天使さま、何で放っておくの?アンヌさんはどうしたのかしら?」

「……」

いつもなら何を尋ねてもすぐに答えてくれる音楽の天使。

しかし無邪気に首を傾げるクリスティーヌに、今は答えは返ってこない。

「他の人に聞こうとしたけど、マリー姉さんがジリ先生にも他の女の子にも

喋っちゃダメって言ったから…天使さま、聞いてる?」

「…聞いている」

ファントムは壁の向こうで苦々しく唇を歪めた。

(全く幼子のいる中でなんということを…!そのアンヌとやらには警告を送らなければ。

そうだ、ジリにも言っておくべきだな。我がオペラ座の風紀の乱れは、見過ごせない状態にあ…)

「ねえ、天使さま?どうして喋っちゃダメなの?」

「あー、つまり、それは…」

しかし、いずれは正しい知識が必要となる。クリスティーヌを堕落した女にしないためにも、

今が教えるのに良い機会なのかもしれない。ファントムは重々しく口を開いた。

「クリスティーヌ…いいか、よく聞くのだ」

「なあに、天使さま…教えてくださるのね!」

「………」

「天使さま?」

「…今日はもう遅い、部屋に戻りなさい」

「ええ?ずるい、天使さま…いいわ、アンヌさんに聞いてみる!」

「待て!それはダメだ…明日、明日の夜必ず教えるから!

常にない焦った声で静止する音楽の天使に、クリスティーヌは目を丸くした後顔を輝かせた。

「明日!きっとね!」

「ああ、明日、必ず…」

答えながらファントムは、暗がりの中で己のマントの裾を握りしめた。


深夜マダム・ジリは自室のカウチに腰掛け、持っていた手紙を広げた。

赤い髑髏の封蝋が、ランプの灯りに禍禍しく光る。

しかし、マダム・ジリの顔に浮かぶのは恐怖ではなく、呆れたかような表情。

「…オペラ座のファントムともあろうものが、ずいぶんと品行方性におなりだこと」

ひとつ頭を振ると、溜息とともに呟いた。

「それにしても…これはなにかしら…"追伸:至急以下の本をO.G気付にて届けさせるように

…『あかちゃんはどこからくるの?』『パパママ思春期質問箱〜よくある問いと回答例』"」



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