350 :メグ×クリス :2005/05/01(日) 05:16:18 ID:g/M/jK0g

幼いときから一緒に育ってきた無二の親友──彼女の変化を見逃したのは、
新作の公演が続く目の回るような忙しさの所為だったと思う。

華やかな仮面舞踏会も終わった頃から少しずつ、そう、ほんの少しずつ萎れていくように、
クリスティーヌからは生彩が失われていった。

ようやくそれに気付いた時、メグ・ジリーは愕然とした。

どうして?素敵な幼なじみとの再会と婚約をあんなに喜んでいたのに。

思えば、あの輝かしい大成功を収めた夜から、少し様子がおかしかったかも知れない。

ゆっくりと語り合って確認したくとも厳しいレッスンの日程は続き、夜も寄宿生達の多数の
耳目が集まる大部屋では立ち入った話はし辛かった。


憔悴していく親友を気遣い彼女が焦るうち、チャンスは意外に早くやってきた。

厳しいレッスン教師──メグにとっては実の母でもあるのだが──が、所用で一夜オペラ座を空けるというのだ。

レッスンは夕方早くに切り上げられる上、母の部屋は無人となる。

この機を逃さず、メグはクリスティーヌを誘った。

「ねえ、お菓子やワインを持ち込んで…久しぶりにゆっくりお喋りしましょうよ。
あなたの素敵な子爵様の話も聞かせて。」

少し躊躇ったクリスティーヌだったが、久々とも思える小さな微笑みを向けて承知した。

「いいわ。…最近、眠るのが怖いの。お喋りすれば気も紛れるかも知れないわ。」

勿論見つかれば厳しいお仕置きに合うかも知れないが、10年も寄宿生活を送るうちに
少女達も羽目の外し方は覚えていた。


ゆっくりと短くなっていく蝋燭が、しだいに深くなっていく夜の更け方を示す。

マダムの小さなベッドの上にお菓子の屑を散らかしながら、ひとしきり他愛ない話にさざめいた後、
メグはクリスティーヌの髪を撫で

瞳を見つめながらゆっくりと切り出した。

「さあ、そろそろ良いでしょう。教えて、何をそんなに思い詰めているの?」

この穏やかで内気な友は何でも自分の内側に抱え込みがちだったから。
付き合ううち、いつしかメグは上手な聞き役になっていた。

クリスティーヌにもそんな彼女の優しさと配慮は伝わっていた。

何より、誰かに打ち明けたかったから。優しい婚約者でさえ、彼女の畏れを本当の意味で理解してくれようとはしない。

二人で少しずつ空けたワインが回り始め、気持ちを解れやすくもしていた。

クリスティーヌは、メグの真摯な目を見つめ返し、少しずつ語り始めた。
あの恐ろしくも素晴らしい夜のこと、自分を満たした夜の調べと

オペラ座の幽霊…謎の仮面の男について。


「そして、それから音楽の天使は訪れなくなった…
夜毎私に歌いかけ、優しい眠りを守ってくれた歌声は遠く離れていってしまった。

ラウルは彼を誘き寄せようと、なにかを計画している…でもメグ、私の畏れは消えない。」

白い頬に涙の粒をはらはらと伝わせながら、クリスティーヌは己の内の恐怖を綴る。

「あの素晴らしい響きが私の身体を満たすと、私は私でなくなってしまう。
身体が熱く溶けて、昏い闇に心惹かれる。背徳の罪を平気で 犯しそうになる…」

ゆっくり友の髪を撫でながら、メグは彼女の恐れる物が何であるか、少しずつ判ってきたような気がした。

純真で、無垢で、本当に天使のようなクリスティーヌ。

彼女の前に初めて姿を現した「音楽の天使」は、闇の天使だった…可哀想なクリス。

「それは、音楽の天使様が生身の男性だったから?それが怖いの?」

「判らないわ…なぜ彼は、優しい音楽の天使様のままで居てくれなかったのかしら…。
私の心の空虚は満たされないまま。でも、違うと 思うわ。ラウルは違うもの。」

不意に明るく変わった語調に、メグはドキリとする。

「ラウルとなら一緒にいても怖くないわ。優しくて気持ちも楽になるの。
彼なら、脅えるほどに感情を揺さぶったりもしないわ。」

可哀想なクリスティーヌ。そして可哀想な闇に住まう音楽の天使…。

母の傍で、オペラ座で日々を過ごすうち、いつしかクリスティーヌの音楽の天使
──オペラ座の幽霊の存在に好奇心と憧れを抱くようになっていたメグは、
彼に真摯に求められながら現実から目を背ける友の様子に、嫉妬と哀れみが半ばする感覚に胸を引き裂かれた。


「違うわ、クリスティーヌ。あなたが怖がっているのはファントムじゃない…。」


柔らかな巻き毛を愛撫していた手を、首筋に滑らせる。

「あなた自身の中に潜む、きっと天使は持たない筈の欲望なんだわ。
ああ、クリスティーヌ…結婚してしまっても同じ事なのに。」

自分の内に抱く真実を何も知らないまま、目を背けたまま楽な方に流されたら、
きっと子爵夫人になっても彼女は深い後悔を抱え込む ことになるだろう。

「あなたの内に潜む、違うあなたを教えてあげる。」

思い詰めたように、目の前の柔らかく肉感的な唇に、己の唇をゆっくりと重ねる。

クリスティーヌが驚いたように一瞬目を見開いたが、ワインの酔いが効いているのか、
いつもの他愛ない戯れだと思っているのか さしたる抵抗を示さなかった。


柔らかな唇同士の探り合いを続けながら、滑らかなうなじや耳元を優しく撫でる。

ぞくりと身体を震わせて、唇を放したクリスティーヌがクスクスと笑う。

「どうしたの、メグ。くすぐったいわ。…きゃっ!」

薄い寝間着の上から胸の膨らみを軽く捏ねられて驚いて身を離そうとするクリスティーヌに、メグは優しく囁いた。

「恥ずかしがらなくていいでしょう。いつも一緒に着替えているのだし…ねえ、私の事を信じてくれるならじっとしていて。」

いつになく切実な親友の綺麗な青い瞳を見つめて、クリスティーヌは迷った末力を抜いた。

メグの優しい手がレースに包まれた夜着の胸元をはだけていく。

露わになった双の形良い膨らみを撫で回され、揉まれるうちクリスティーヌの頬に血が上った。


「ね、ねえメグ…やっぱり恥ずかしい…何をするの?」

「大丈夫だから、じっとしていて。」

優しくも決然とした調子で告げると、刺激に少しずつ凝ってきた膨らみの頂点を指の腹で押しつぶした。

びくん、と跳ねた身体を押さえつけるように綺麗な桃色の胸先にキスをし、そのまま口に含んで吸う。

「ああ、っ…!?」

小さく上がった悲鳴を無視してやわやわと胸を捏ねながら舌先で固く凝った乳首を掃くように撫でると、
断続的な喘ぎが上がって クリスティーヌの身体がじっとしていられないように捩られるのを感じる。

執拗に唇と舌で双の胸の頂を愛撫し続けながら、夜着の裾から忍び込んだ指先は、
同性ならではの素早さで足の合わせ目の間から 入り込み、下着の柔らかに盛り上がった部分の湿り気を確かめていた。

「はぁ、メグ…もう、止めましょう…」

吐息混じりのクリスティーヌの声は弱々しく甘く掠れ始め、未知の感覚に溺れ始めている事を隠せない。

「まだダメよ、クリスティーヌ。」

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