46 :闇の天使  :05/02/19 00:43:27 ID:v0IklCsC

観客の熱狂的な歓喜が渦巻く舞台から、静かな楽屋へ戻ってきて

クリスティーヌは安堵の溜息をついた。

舞台の成功は嬉しかったが、多くの人に囲まれて賞賛を受けるのはまだ慣れていない。

どこかくすぐったく、突然今までの自分ではなくなったような気がして精神的に疲れるのだ。

楽屋のドレッサーの上には、クリスティーヌが幼い頃に亡くなった父親の写真が飾ってある。

「パパ、今日の舞台を観てくれた?・・・パパがおくってくれた音楽の天使のおかげよ」


クリスティーヌの父親は有名なバイオリン弾きであった。

才能ある芸術家にはありがちな、夢と理想を食べて生きているような男で

クリスティーヌには常に美しい夢を見せようとしていた。

幼いクリスティーヌは彼の夢の世界の住人だったのだ。

父親の死によって突如世間に放り出されたクリスティーヌは、父親の音楽を愛していた

裕福な家人の好意でその後も音楽の勉強を続けていたが、彼女は音楽に対する

積極的な情熱を失っていた。彼女にとっては父親が音楽の情熱の全てであり

父親なしに音楽を続ける意味を見つけられなかったのだ。

なんとかオペラ座のコーラスガールとしての職を得たものの

音楽への情熱を欠いたクリスティーヌの評価は、あまりかんばしいものではなかった。


一緒に祝う恋人も友人もなく、一人で20回目の誕生日を迎えたその夜に

音楽の天使はやってきた。

幼い頃に父親から何度も聴かされた音楽の天使の物語。

美しい魂を持つ者のもとにしか訪れず、しかもその人の魂が傷つき

弱っている時にやって来て、天上の音楽を分け与えるという。

子どもの頃は信じていたお話も、今のクリスティーヌにとっては

ただのおとぎ話に過ぎなかった。

毎夜舞台の裏で繰り広げられる妬みや卑劣な足の引っ張りあい、無責任な噂話はどうだろう。

カルロッタの一部の狂いもない完璧なテクニックが、音楽の天使によってもたらされた

ものだとしたら、音楽の天使は彼女の不遜な傲慢さを見抜けなかったのだ。

全ての現実に疲れていたクリスティーヌは、もう自分には才能のかけらも残っていないのだから

20歳になるのを機会にコーラスガールを辞めようと考ていた。

無名のコーラスガールが辞めた所で、ほとんどの客は気づく事もないだろうし

同僚達だってそれほど話題にはしないだろう。

そんな事を考えながら力なくベッドに横になっていると、やがてどこからともなく

男の囁き声が聴こえてきた。

はじめは廊下でしゃべっているアパートの家主の声かと思ったが、耳をそばだてて

ようやく聴こえるか聴こえないかのかすかな声は、少しずつ確かなメロディとなって

クリスティーヌの耳に届いてきた。

「どこから聴こえてくるのかしら?」

起き上がって声の出所を調べようとしたが、天から降ってくるようでもあり

地からわいてくるようでもあり、どこから響いてくるのかさっぱり分からなかった。

もう一度ベッドに戻り、枕に耳を強く押し付けると、男の声が先程よりもはっきりと聴こえて来た。


私の声に耳を澄ませ、私に従いなさい。

お前が私のものになるならば、私の英知をお前に授けよう・・・


暖かいのに冷たく、優しいのに力強く、うむをいわせない傲慢な自信に彩られた声。

声の輪郭が黄金の光を放ち、闇の中でキラキラと砕け散る。

こんな美しい声が人間の声であるはずがない。

やっと来てくれたのだ、待ち望んでいた音楽の天使が!


クリスティーヌの頬は赤く上気し、青く澄んだ目からは一筋の涙が零れ落ちた。

「ずっと待っていました。どうぞ・・・どうぞ私を導いてください」

両手を組み、天に祈るように声に向かって懇願する。

父親が亡くなってからの孤独で辛い日々が思い出されて

込み上げてくる嗚咽をこらえる事ができなかった。


声はしばらく沈黙を保っていたが、やがてゆっくりと異国の歌を歌いはじめた。

クリスティーヌが今まで親しんできたメロディとは違う、物悲しくも情熱的な旋律。

深くえぐり出すような低音と、細く胸が絞めつけられるような高音。

はじめはただ涙を流しながら聴いていたクリスティーヌだったが

次第に二つの音の波に身体が反応するようになっていた。

低い音に腰の奥が疼き、高い音に胸の奥が痺れる。

声がざらついた舌のように身体を這ってゆく感覚に、クリスティーヌは

全身の肌が粟立つのを感じた。

知らず知らずのうちに太腿をこすり合わせ、両手は胸のふくらみに向かう。

指の到達を待つまでもなく、両胸は膨れ上がり、頂点は固く勃起していた。

乳首を軽くつまむと、甘い痛みが背筋から下腹部にはしる。

「ああ・・・」

思わず声が漏れる。

トロリと腰の奥から何かが溢れてくるのが分かった。


男の声は全てを見透かしたかのように、深く浅くクリスティーヌの身体を刺激してくる。

胸に手が伸びたと見るや、軽くリズミカルなメロディに切り替えて手の動きを誘導する。

声のリズムに合わせて乳首をこりこりと回すと、頭の芯が熔けるような快感が突き抜ける。

―― 私、どうしてしまったの?

自分の変化に戸惑いながらも、手の動きは止まらない。

男の声が少しずつリズムをあげてゆくのに導かれて、クリスティーヌの指は

左右の乳首を無茶苦茶にもみしだいていた。

「ふっ、うう・・・ん」

熱く膨らんだ両の胸はジンジンと脈打ち、頂点は火山のように燃えさかっている。

眉をひそめ、頬を紅潮させ、さらなる快感を求めて乳首をきつくつまみあげようとした時

突然男の声の調子が変わった。


それまでの軽やかな調子から一転して、低く重く太い声でみぞおちを刺激してくる。

胸への刺激ですでに昂ぶっていたクリスティーヌの身体は、新たな刺激に敏感に反応した。

男が刻むリズムに合わせて、秘められた部分の肉の壁が妖しくうごめいているのが分かる。

クリスティーヌの右手が胸から離れ、腹の上を滑り下腹部の茂みに向かう。

すでにショーツは中から溢れる蜜によって濡れており、局部にぴったり張り付いて

性器の形を露わにしていた。

右足の膝を折り曲げ軽く太腿を開くと、男の声と本能に導かれるまま

クリスティーヌはショーツの上からゆっくりと割れ目をこすってみる。

布越しのもどかしい感覚が、かえって彼女の性感を高めていた。

奥のくぼみに軽く中指を差し入れると、肉の壁がヒクヒクと吸いついてくる。

子宮と膀胱の筋肉が収縮し、尿意を我慢している時のようなやるせない快感が身体を満たす。

そのまま前に指をずらし敏感な突起に触れると、思わず腰がせりあがる。

ショーツの上から突起を軽く引っかき、上下に細かくさする。

「ううん・・・んっ・・・・・・・・くぅん」

奥の窪みからはとめどなく液体が溢れ、もはやショーツでは受け止めきれず

シーツに流れ落ちて大きな染みを作っていた。
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