「クリスティーヌ・・・! お前は私の言いつけを守らなかったのだね?」

子爵が部屋を出るのを見届けると、私は鏡から出て、クリスティーヌに詰め寄った。

「マスター、もういらしていたのね・・・・」

彼女の驚きに見開かれた眸を見て、さらに怒りが燃え上がる。

「来ていてすまなかったな! 私がまだ来ていないと思って、あの男を連れ込んだのか」

「連れ込んだなんて・・・・、ただ少しお話をしただけだわ」

「つい一週間前だとて、あの男の誘いに嬉しそうにしていたではないか・・・!」

「そんなこと・・・」

「食事に行けなくて残念だと言っていたではないか」

「それは・・・」

「まぁ、いい。・・・ところで、夕べの食事とは、外に出掛けたということかね?」

「・・・・だって、毎日誘われるんですもの、断れなかったの・・・・」

「それで、そのお前の大切な喉を夜風に晒したって言うんだね?」

「ごめんなさい・・・・」

「私の言いつけを守れないのなら、もうお前に稽古をつけてやる必要もないね?」

「ああ! マスター、どうかそれだけは・・・・。何でも言うことを聞きます、

だから、どうかレッスンしてください・・・・」

「何でも? 私の言うことを何でも聞くと言うんだね・・・・?」

「ええ・・・・」


扉に近づき、鍵をかける。ゆっくりと彼女の方に振り返ると、こう言った。

「では、ここで着ているものを全て脱ぎなさい」

「そ、そんな・・・・! どうして、そんなこと・・・・」

「どうしてもだ。私の言うことを何でも聞くんだろう? 

私の言いつけを守らなかったお前に罰を与えなくちゃね。これがその罰だよ・・・」

「そんな・・・・、こんなところで、そんなことできない・・・・」

「では、もう稽古はないよ、いいんだね?」

「・・・・・・」


どうして、これほどひどいことをクリスティーヌに言えるのか・・・・。

ガス燈の灯るレストランでの食事は、私がどんなに望んでもクリスティーヌには

与えてやれないことのひとつだ。

クリスティーヌほどの若い娘が、華やかな社交の場に憧れを抱いたとしても、

それを誰が責められようか。

そうは思っても、自分でも抑えの効かない凶暴な何かが、私を支配してしまっている。


「さぁ、決めなさい。私の言うことを聞くか、稽古をやめにするか」

「・・・・・」

俯いた彼女の頬に、大粒の涙が伝った。

それをちらりと見てから、マントを翻しつつ踵を返す。

その場を去ろうとする私の気配に、彼女が顔を上げ、小さく叫んだ。

「いや! 行っちゃいや! 何でもするから・・・、何でもするから行かないで・・・!」

彼女に背を向けたまま、返事をせずに立ちつくす。

シュッと衣擦れの音がした。振り向くと、彼女がボディスを脱ごうとしていた。


マントとテイルコートを脱ぎ、化粧机に置くと、その前にあった椅子に腰掛けた。

腕を組み、右手を顎に添え、怒りと興奮のためにぐらぐらする頭を支えた。

シュッシュッという衣擦れとともに、彼女のスカートが床に落ちる。

シュミーズとアンダースカートを着けた彼女が私の方を見やる。

ここで許して欲しいということなのだろう。だが、ゆっくりと首を横に振り、

彼女の次の動作を待つ。

失望したように閉じた彼女の眸から、また大粒の涙が溢れた。

そして、彼女の震える手でシュミーズとアンダースカートがはずされた。


「マスター・・・! ああ、お願い、許して・・・・」

コルセットとペティコートだけの姿になった彼女がその場に泣き崩れた。

しかし、私は彼女を許さない。

私があれほど彼女に会いたいと焦がれていた瞬間、彼女は他の男と食事に行っていたのだ!

「私の言うことを何でも聞くと言ったではないか。できぬのなら、金輪際、お前の稽古はごめんだ」

「うう・・・・・」

「さぁ、ちゃんと立って」

彼女は、しばらくその場ですすり泣いていたが、泣きながら立ち上がると、

コルセットのホックに手をかけた。


ホックがはずされていく。最後のホックがはずされた瞬間、

これまで押さえつけられていた胸がこぼれ出た。

とっさに両手で胸を隠す。許しを請うような眸で私を見る。

「・・・・・・」

「マスター・・・・、うう・・・・」

肩で大きく息をしながら、ぽろぽろと涙をこぼし、左腕で胸を隠そうと努力しながら、

右手でペティコートの紐をほどいた。


ペティコートが床に落ち、バッスルもはずされると、小さい下着とストッキングだけが

彼女の身につけているすべてになった。

どちらから脱ぐべきかを考えているのか、その場に立ちつくしたまま動かない。

「どうしたね?」と冷たく促すと、しばらくすすり泣きを洩らしていたが、

ストッキングから脱ぐことにしたらしく、相変わらず左腕で胸を隠そうとしたまま、

手だけでストッキングを脱ごうとしている。

身をかがめ、右手だけで必死にストッキングを脱ごうとしているクリスティーヌの姿は、

いやがうえにも私の劣情をそそる。

最後の一枚をどんな風に脱がせようか、その最後の一枚を取った彼女にどんな罰を与えようか・・・、

そんなことを考えながら、ようよう左脚からストッキングを抜き取ろうとしている彼女を眺める。


「全部だよ・・・」

「マスター・・・、もう許して・・・」

「・・・今夜は許さぬ。ちゃんとひとりで全部脱ぐんだ。

・・・そうだな、下着は両手でおろしてもらおうか」

「そんな・・・、いや・・・!」

「何でも私の言うことを聞くんじゃなかったのかね? 聞けぬのならこれで終いだ。

・・・これが最後だよ。お前の口から嫌だという言葉はもう聞きたくないのでね」

「うう・・・・・」


胸を、小さい下着を、男の眼から隠そうとしていた彼女のそれぞれの手が下着に掛かる。

眸を閉じ、涙を溢れさせながら、少しずつ下着をずらしていく。

茂みの前で一瞬私の方を見やったが、私の有無を言わさぬ視線に諦めたのか、

ふたたび眸を閉じる。

唇を戦慄かせ、少しずつ手を下へと降ろしていく。

少しずつ茂みが見えてくる。栗色の柔らかい翳りが布地にこすれる音がする。

膝の辺りまで下げると、あとは重力にしたがって下着自ら床へと落ちていった。

そして、ふたたび胸と局所とを隠すように腕を身体に巻きつけたクリスティーヌが、

蝋燭の揺らめきのなか、立っていた。


「腕をどけて・・・・、隠してはだめだよ」

許しを請うことも、抵抗することも禁じられた彼女が、諦めたように腕をとき、

己の身体に沿わせるように下へとおろした。

これ以上は無理だというほど顔を背け、唇をふるふると震わせ、肩で息をしている。

蝋燭の揺らめきに呼応して、乳房の影が腹の上で形を変える。

茂みの翳が太腿にちらちらと映る。

生まれたままのクリスティーヌのなんと美しいことか・・・・・。


「こちらへおいで」

かつて彼女を包み、彼女の慎みと自尊心とを守っていた衣服の残骸を乗り越え、彼女が私に歩み寄る。

足元を見るためにほんの一瞬開いた眸はすぐに閉じられ、顔も背けたまま、彼女が私の前に立った。

羞恥と屈辱の、どちらがより彼女を美しく可憐に見せているのか・・・・、

その姿は、美の女神とて敵わぬほどだ。

そう思いながら、彼女の腰を掴んで自分の方に引き寄せ、両脚の間に彼女を立たせた。


右手を背中へと滑らせる。彼女の肌理の細かい肌がしっとりと手に吸い付いてくる。

背骨をなぞるように下へと手を下ろしていく。

腰のくびれを確かめるようにして二、三度手を上下させてみる。

「ああ・・・、マスター・・・」

クリスティーヌの小さな喘ぎ声を聞きながら、臀へと手を滑らせる。

柔らかく、それでいて重量感を感じさせる肌のなめらかさを味わう。

臀全体を、まるく円を描くように撫でる。

「ああ・・・」

少しずつ彼女の息遣いが荒くなっていく。


右手を腰に戻し、今度は両手をわき腹、背中、胸へと撫で上げていく。

両手で胸を掴むと、そのまま揉みしだく。

「ああっ、いやぁっ・・・!」

私の眼前に彼女の乳房がある。

ふらつく彼女の腰に左手をまわし、右手で片方の乳房を揉みしだきながら、

もう片方の頂に実る苺色の果実を口に含む。

そっと舌先でつつき、それからざらりと舐め上げる。



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