217 :ファントム×クリス(仮面剥し編) :2005/07/14(木) 00:36:40 ID:zPtQIDl2

ブローニュの森での散策から四日が過ぎ、明後日から「ハンニバル」の追加公演が

始まるという日の夜、いつものようにクリスティーヌを充分に愛した後、

彼女を休ませてからオルガンへと向かおうとした。


「さぁ、ゆっくりお休み」

彼女の身体を清め、寝着を着せてやり、シーツを替えたベッドに彼女を横たえて、

上掛けを掛けてやる。

「マスター、どうしてマスターはいつも一緒に休んでは下さらないの?」

「色々とやることがあるのさ」

「それ、急いでしないといけないの?」

「いや、そんなこともないが……」


─── 彼女に腕まくらをしてやり、眠りに入っていく彼女の髪を撫で、

彼女の寝顔を眺める……。

彼女の横で休み、彼女の横で目覚め、彼女が目覚めていく様を眺める……。

私がそれを望まないわけがなかった。

しかし、仮面のことを考えれば、その望みを叶えることは到底できないのだった。


「マスターと一緒に休みたいの……」

しかし、消え入りそうな声でそうねだるクリスティーヌの愛らしいことといったらどうだろう。

アダムを誘惑したイブもこれほど愛らしくはなかったろうとさえ思う。

「そんなに我が儘を言わないでおくれ」

「我が儘言っちゃ、だめ?」

十日ほど前に私のしたことを考えれば、クリスティーヌは幾らでも我が儘になる権利があった。

それに、これほどに可愛らしい我が儘があるだろうか……。


「ハンニバル」の追加公演が終わったら、私は彼女を永遠に地上の世界に返し、

二度と地下へは連れて来ず、二度と会うこともしないつもりだったから、

もし彼女と一緒に休むとすれば、今夜がその最後の機会かも知れないという思いが

脳裏をかすめた。


「それでは、少しの間だけ……。おまえが寝付くまで」

彼女の可愛らしい我が儘を聞いてやりたくて、彼女の言いなりにベッドに入り、

彼女の隣に身を横たえた。

クリスティーヌが私の肩に顔をうずめてくる。私の肩にそっと手を伸ばし、腕を出したことを

叱られまいかと私の方を上目遣いで窺う様子は、胸が締めつけられるほど愛らしい。

「あのね、少しの間じゃだめなの、マスターと一緒に眠りたいの……」

甘えた声でねだる彼女の髪の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「腕を出していたら風邪をひいてしまうよ……」

彼女の腕をしまいながら呟く。

そして、彼女の髪を優しく撫でながら、私はいつしか行為の後の甘い気だるさに

負けて寝入ってしまった。


寝入ってしまってから、一体どのくらい経ったのだろう、クリスティーヌの悲鳴を聞いて

目が覚めた。とっさに身を起こしたが、周囲が仄暗いせいもあって状況を認識できない。

しかし、一瞬の後、クリスティーヌの手にあるものを見て、何が起こったのか悟った。

クリスティーヌの手にあるもの……、それは私の仮面だった。


私を見る彼女の眸……、それは今までの尊敬と愛情の混ざったそれではなく、

驚きと恐怖にただただ見開かれていた。

その眸を見た途端、私のなかで何かが音を立てて崩れていくのを感じた。

それは、ふたりの間にあった信頼だったかも知れないし、私のクリスティーヌへの愛だった

かも知れないし、私のなかに残る人間らしい理性だったかも知れない。

或いは、それらすべてだったのかも知れない。

気づいたときには、私はクリスティーヌの上に馬乗りになり、彼女の首に手を掛けていた。


逆上してもなお、私のクリスティーヌへの愛は残っていたのだろう、かろうじて

クリスティーヌを絞め殺すことは免れたが、この怒りと屈辱とを彼女にぶつけずに

いることはできなかった。


首に掛けた手をそのまま下へとずらし、彼女の寝着の胸元に手を掛ける。

力任せに寝着を引き裂く。

「いやあぁぁぁ─────っっ!!」

布地が裂けていく音に、クリスティーヌの悲鳴が重なった。


顕わになった乳房を掴み、乱暴に揉みしだく。

「やめて、やめて!」

そう叫びながら、手のひらをこちらに向けて目の辺りに押し当て、自分の顔を庇うようにする。

その仕草がさらに私の怒りに火をつける。

「そんなに私の顔が恐ろしいか! こうすれば見なくて済むからいいだろう」

と言いざま、彼女の身体をひっくり返した。


「いやあっ!」

突然うつ伏せにされ、逃げようと膝を立てるクリスティーヌの腰を掴んで己の方へ引き寄せる。

それでもなお私から逃れようと身を捩り、足をばたつかせる。

彼女にまとわりつく寝着をまくり上げ、下着に手を掛けた。

「ああっ、やめてっ!」

彼女の制止など聞きもせず、一息に下着を剥ぎ取った。


──── 顕わになる彼女の秘所……、これまで何度となく私が愛撫し、いつも熱い雫を

たたえて私を待ちわびていてくれた彼女の最も秘められた場所……。

しかし、今夜ばかりはぴたりと閉じられ、冷ややかなたたずまいを見せていた。


「いや、いや! やめて……!」

抵抗しようと身を捩る彼女の両手を背中の後ろに持ってくると、

左手で彼女の腕を掴んで固定する。

肩と頬だけで己の体重を支える格好になったクリスティーヌの

白い大腿に右手を伸ばす。後ろから大腿を撫で上げる。

「やっ!」

芳しくはない反応を見て、彼女の両膝の間に自分の膝を無理矢理入れ、

膝を開かせる。

内腿を撫でさすると、「ひっ!」と大腿の裏よりは高い声が上がる。

ゆっくり内腿を上下させ、悲しげな喘ぎ声を幾度か上げさせた後、

彼女の秘所へ指をあてがう。


閉じた花びらの上をゆっくりと指を這わせていく。

二本の指で撫でるように何度も往復させ、花びらの合わせ目を

爪でそっと引っ掻くように撫で上げる。

次第に花びらがふっくらと水気を含み始め、紅く色づいてくるのがわかる。

しかし、前に手を伸ばしてみると、まだ肉芽は莢に包まれたまま、柔らかさを保っている。

「いや、いや……」

私の指から逃れようと身を捩る彼女を見て、さらに怒りが燃え上がる。


「もう私の愛撫では濡れないのだね……。私に抱かれるのがそんなに嫌か……!

 つい夕べだってあんなに悦んでいたのに……、でも、もうおまえにとって

 私は師でも愛人でもなく、ただの恐ろしい化け物に過ぎないのだね……」

自分が口にした言葉が胸に突き刺さる。

こうして、彼女にとって恐怖の対象でしかなくなってしまうことを恐れたからこそ、

「ハンニバル」の公演が終わったら彼女を返そうと決心していたのに……。

ぐずぐずと彼女を返すのを躊躇っていた自分自身に腹が立つ。



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