クリスティーヌの手が伸びて私の仮面をはずす。

つい顔を右に傾け俯いてしまう私の顔を両手で挟み、優しく口づけてくれる。

ただただクリスティーヌを見つめる私に、彼女が囁くようにこう言ってくれた。

「エリック……、どうかこれだけは覚えていて欲しいの。

私はあなたのすべてを愛しているってことを……」


私たちは指を絡ませ、互いに見つめあいながら、ベッドへと倒れ込んだ。

私は、優しく、毀れ物を扱うように彼女を抱き寄せた。

彼女と肌を合わせているだけでこみ上げてくるこの喜びを、

どう表現したらいいのだろう……。


ふと、彼女が大きく息を吸い、その身を顫わせた。

途端に不安が胸のうちに湧き上がる。

「本当は私にこうされるのは嫌なんじゃないか? この間のことを思い出して

怖いんじゃないか? 今夜はやめよう……」と私が言うと、彼女が首を横に振る。

「しかし……」

「違うの、怖いんじゃないの……」

「おまえが私を怖いと言っても、私のおまえへの愛は変わらないよ。

あれだけのことをしたのだ、おまえが怖くなくなるまでゆっくりと待つよ」

「違うの…、あの、その…、身体が熱く……、あの、息が苦しかっただけなの……」

顔を真っ赤にしながら口ごもる。


照れ隠しなのか、睨みつけるように上目遣いで私の顔を見る。

クリスティーヌが、口づけをねだるように己の顔をわずかに上げて眸を閉じた。

左手で彼女の肩を抱き、残る右手で彼女の手を包み込むようにしながら、口づけた。

彼女の唇が開かれ、私の舌が彼女を求めるのを待っている。

そっと舌を挿しいれ、彼女の柔らかく温かい舌に触れた瞬間、

私のなかに残っていたわずかな理性はどこかへ行ってしまった。


彼女の舌を優しくゆっくりと吸い、更にねっとりと絡め合わせる。

彼女は、私の舌をいじらしいほど懸命に吸い、私の動きにあわせて舌を絡めてくる。

唇を求め合いながら、右手で彼女の左の乳房を優しく掴んだ。

ゆっくりと円を描くように揉む。彼女の息遣いがほんの少し荒くなる。

「あ、ああ……」

湧き上がりかけた快感にゆったりと身を委ねようとしている声を聞いて、

彼女の甘い声をもっともっと聞きたいという欲望がふつふつとこみ上げてくる。


乳暈を爪先でゆっくりと巡らせてみる。

「あっ、やあっ……!」

乳房をゆっくりと揉みしだいては、そのまま人差し指だけを動かして

乳暈の上を巡らせる。

「あっ、ああ……ん……!」

眸を閉じた彼女の眉根がだんだんと寄せられ、乳首が次第にその硬さを増していく。

「クリスティーヌ……、まだ触ってもいないのに、硬くなってきているね……」

「あ、あぁ……」

「触って欲しいかい?」

「ん……、」

「ああ、可愛いよ、クリスティーヌ……」

そっと乳首を摘まむと、「あぁん……!」と可愛らしい声を上げて身を捩る。

摘まんだまま、爪先でかりかりと頂を擦ってやると、ひと際高い声で啼く。

乳首が硬くしこり、指先でほんの少しつついただけでよがり声をあげる。

「あぁ…ん、あっ…、ん……」

腰をくねくねと捩りながら、湿った吐息を私の胸に吐きかける。


身体をずらし、彼女の乳首を口に含む。

そっと舐め、それから優しく吸い上げる。

両の乳首を交互に、啄ばむように何度も吸うと、クリスティーヌがいやいやを

するように首を振りながら、指で私の髪をかき混ぜる。

「あぁ……ん……、エリック、エリックぅ……」

濡れた乳首を顫わせながら、幾度も私の名を呼んでくれる。

そんな彼女が愛しくて愛しくて、その可愛い乳首から唇を離すことができない。


「あぁん……、エリック、ああ……、おかしくなっちゃうぅ……」

切なそうにそう言って、クリスティーヌが欲しげに腰を揺らめかせた。

乳首からは唇を離さず、右手だけを身体の稜線に沿って下へと滑らす。

そっと茂みを掻きわけ、肉芽を探しあてると、指でゆっくりと愛撫する。

「あっ、ああ……ん! だめぇ、よけいにおかしく……」

「いいよ、いくらでもおかしくおなり……」

乳首を舐めながらそう言ってやると、指を蜜壷に挿しいれた。

すっかり濡れそぼった彼女のそこは温かく、溢れる愛蜜をかき混ぜるように

指を動かすと、途端に彼女の息遣いが荒くなった。

挿しいれた中指を動かしながら、親指の腹で肉芽をこすってやる。

指を動かすたびに肉襞が締まり、粘膜が蠢く。

「ああ、ああ……っ! ほんとに、……ほんとにおかしく……!」

乳首を吸われながら敏感な粘膜を弄られ、息も絶え絶えの彼女がそう叫ぶ。

「逝きたかったら、逝っていいんだよ……」

「あぁん、マスターぁ、もう……、もう、だめぇ……!」

私の許しが出るのを待っていたかのように、私の指を締めつけながら彼女が逝った。


「ふふ、最後はマスターって呼んでいたね」

と、彼女を抱きとりながら笑いかけると、クリスティーヌは苦しそうに息をしながら、

それでも恥ずかしそうに、はにかんだ笑顔を私に向ける。

ああ、彼女の笑顔をもう一度見られるとは……! あまりの嬉しさに涙が滲む。

「ああ、愛している、……愛しているんだ、クリスティーヌ……」

感極まって、彼女を強く抱きしめた。


「こうしてもう一度おまえをこの腕に抱けるなんて、夢のようだよ」

クリスティーヌの眸を見ながら囁く。

「私も……。私もマスターとこうして一緒にいられて嬉しい……」

眸をきらきらと輝かせながら私を見つめてそう言ってくれる。

「鍵を捨てて行ったろう? だから、もう二度と戻ってくれることはないと……」

「だって、あの時は本当に悲しかったし、悔しかったんだもの……」

「それはそうだ」

「もう二度とあなたのところへなんか来るもんですかって思って、つい……」

「おまえは意外に癇癪もちなのかな……、いや、あの場合は癇癪ではないが……」

「でも、後ですごく後悔したの……、どうやってあなたに会いに来たらいいのか、

わからなくて」

「それで、鏡を動かそうとしていたんだね?」

「そうなの。 ……えっ、……あっ、じゃあ……」


クリスティーヌの顔が見る見るうちに紅く染まっていく。

彼女が何で紅くなったのか察した私は、彼女を抱きしめながら囁くように尋ねる。

「鏡のところに私がいると思ってああしてくれていたんだろう?」


耳まで紅くしたクリスティーヌが小さい声で答えた。

「やっぱり見ていらしたのね……、恥ずかしい……」

「どうして? おまえがあれをしてくれなかったら、私はとてもおまえの前に

顔を出すことなどできなかったよ。

おまえがあんなにも私を求めてくれているとわかったから、

こうしておまえの前に出ることができたのだ……」

「でも……。じゃあ、何ですぐに出てきて下さらなかったの?

私、もうあなたがずっと怒ったままなんだと思って、すごく悲しくなって……」

少しばかり怒りを含んだ眸で彼女が私を見上げた。


「すまない……。だって、本当におまえが私を呼んでくれているとは思えなくて……、

おまえが私を許してくれるとは思えなかったから……」

「そうよね、あんなにひどいことしたんですもの……」

「ああ、クリスティーヌ……!」

「ふふ、嘘よ、もう怒ってなんかいないわ。

でも、私が一番悲しかったのは、あなたが私を信じてくれていなかったこと……」

「……?」

「私があなたのお顔を見て、あなたを怖がったり嫌ったりするって思ったから

あんなことしたんでしょう?

そりゃあ、びっくりして大きい声出した私も悪いのだけど……。

でも、私がちゃんと話をしようとしても、あなたは聞こうともして下さらなかった。

今なら、あなたがどんなに傷ついていたかわかるような気もするけれど、

やっぱり悲しかったし、あんな……」

あの時のことを思い出したらしく、悲しそうに声を落とした。




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