613 :ファントム×クリス(初夜) :2005/09/01(木) 23:41:19 ID:2NthkVwf

私が彼女に握らせた指環を自らの指にはめ、彼女が私に口づけをしてくれたとき、

彼女は一生を私と過ごす決心をしてくれたのだと思う。


クリスティーヌを舞台から拉し去り地下へと連れて来た夜、

彼女のあとを追いかけ、この地下へとたどり着いた彼女の若い婚約者の命と引き換えに、

ここで暮らせと迫った私に、彼女は優しく口づけしてくれた。

その崇高な決意とともに私に口づけをくれた彼女の慈悲と自己犠牲の精神とに心打たれ、

私はふたりを解放する気になったが、彼女は私のもとに留まってくれた。


子爵は激しく抵抗したが、クリスティーヌの口から、幼い頃から私を慕っていたこと、

どうしてもどちらかを選ばなければならないのなら、師と生徒として長い間時間を

共有してきた私を選びたいことなどが語られた。

そして、最後にきっぱり「これはあなたのお命を救いたいために自分を犠牲にして

言うのではありません。私はこの方と一緒にいたいのです」と言ってくれたのだ。


クリスティーヌから別れを告げられ、半信半疑ながらようやく納得した様子を

見せた子爵をクリスティーヌとともにオペラ座裏まで送っていき、

そこで彼らふたりが別れの抱擁をするのを見届けた。

それから彼女は私とともに地下へと戻り、そこで私と暮らすことになった。


子爵を送っていった二日後、私たちは黄昏に紛れてそっとオペラ座裏から抜け出し、

あらかじめ手配しておいた箱馬車を仕立てて、マドレーヌ寺院まで出掛けた。

実際、歩いても大した距離ではないのだが、人目につくのを恐れたのと

クリスティーヌの花嫁衣裳を汚したくなくて馬車での移動となった。


私にこの顔を与えた神など信じたくもなかったが、

クリスティーヌをこの世に送り出してくれた神ならば信じよう……、

暗く惨めだった私の人生にクリスティーヌを与えてくれた神にならば感謝の祈りも捧げよう……、

そう思い、私は神妙に祈りを捧げ、誓いの言葉を口にした。


そして、私がもう何ヶ月も前から用意しておいた花嫁衣裳を着けたクリスティーヌが、

夢にまで見た宣誓をしているのを、私はそれこそ天にも昇る思いで見つめた。

この瞬間を切り取り、永遠に消えない絵として残したいと思ったほどだ。


夜陰のなか、ふたたび地下へと戻ってきたとき、

私の隣には生涯ともに愛し合い、ともに寄り添いあって暮らす妻がいるはずだった。


彼女を抱え上げて小舟から降ろし、そのまま寝室へと抱きかかえて行った。

私の首に腕をまわし、私の肩に頭をもたせたクリスティーヌの可憐な様子に、

私は気が狂うのではないかと思うほど幸福だった。

純白の花嫁衣裳のトレーンが私の歩みに合わせてひらひらと揺れ、

ヴェールがたなびいて花嫁の青ざめた顔を覗かせている。

その顔をそっと覗きこんだが、眸を伏せたままの彼女の表情を窺い知ることはできなかった。


ベッドに花嫁を降ろす。

相変わらず眸を伏せたままベッドに腰掛けたクリスティーヌのヴェールをはずした。

たおやかに伏せられた睫毛がふるふると顫え、膝に重ねられた両手も微かに顫えている。

息遣いが荒くなっているのか、胸も激しく上下しており、

その乙女らしく緊張している様子のクリスティーヌが愛しくて愛しくてどうにかなりそうだった。


ヴェールを椅子の背に掛け、ふたたびクリスティーヌに近づくと、

彼女がほんのわずかに頭を上げ、額を前に突き出したように見えた。

そっと肩に手を置き、その白皙の額にそっと口づける。

額から唇を離すと、つくづくと彼女の顔を打ち眺めた。

ああ、なんと美しい花嫁なのか……、

この世のものとも思われぬほど美しいこの天使が、私を選んでくれたのだ。


─── いや、しかし、本当にクリスティーヌは私を選んでくれたのだろうか?

子爵の命に危険が及ばぬよう、我と我が身を犠牲にして私のもとに留まったのではなかろうか?

身に染み付いた猜疑心が頭をもたげてくる。


初めて地下へと連れて来たときも、私の仮面の下を見て怯えていた。

一度ならず私を裏切り、私の秘密を子爵にだけではなく、

「勝利のドン・ファン」を観に来ていた観衆の前に曝した。

そんな彼女が本当に私を愛しているのだろうか?

もし、本当に彼女が私を愛しているのなら、あの夜子爵に説明したように、

どうしても子爵か私のどちらかを選ばねばならぬのなら私を選びたいと本当に思っているのなら、

端から私を選んでいるのではなかろうか?

それなら、なぜ今になってクリスティーヌは私とともにここへ残ると言ったのだろうか?

子爵の縛めを解き、命はとらない、私とここで暮らす必要もない、そう私は言ったつもりだが、

もし、彼女が私の言葉を信じていないのならここに残った理由もわかる。


俯いたままのクリスティーヌの前に跪き、下から彼女の顔を見上げる。

わずかに瞼を動かして私を見たクリスティーヌと視線がぶつかる。

「クリスティーヌ……、私を選んだことを後悔していないかね?」

白い手袋を嵌めたままの彼女の手を取り、この三日間、幾度となく問うた問いをもう一度聞いてみる。

「ええ、マスター、後悔などしていません」

これまた、この三日間と同じ答えを静かに繰り返したクリスティーヌにさらに問う。

「本当に? ……本当に後悔していないのだな?」

「ええ、本当に」

「おまえがここで私を拒んだとしても、私はもうおまえを攫うような真似はしないし、

子爵にも手出しはしない。おまえが望むなら、おまえを子爵のもとに帰してやろう。

私の言葉が信じられぬのなら、私は今ここで死んで見せてもいい。

それなら、もう二度とおまえたちにつきまとわないというのが信じられるだろうからね」

「マスター……」

私の執拗さに呆れたのか、クリスティーヌが首を横に振りながらわずかに微笑み、

その笑みを見てようやく自分の疑念が取り越し苦労であることを信じる気になれた。

わずかに首を傾げ、私に握られたままの己の手に目を落としたままのクリスティーヌの膝に額をつけ、

私は「ああ……」と嘆息し、己の幸福を改めて噛み締めた。


しばらくそうやってクリスティーヌの膝頭に額づいたまま我が身の幸運を信じられない気持ちで

噛み締めていたが、やがて彼女の隣に腰掛けると、彼女の肩に手を掛けてこちらを向かせた。

「クリスティーヌ、おまえが私を選んだことを後悔していないと言ってくれて本当に嬉しいよ……、

おまえをこの世の誰より愛している、きっとおまえを世界一幸福な妻にしてみせる、……約束するよ」

「ええ、マスター……」


「しかし……、しかし、私はおまえを妻にしたけれども、今日こうして結婚式も挙げて来たけれども、

もし、おまえが……、その、……、……つまり、私はおまえを妻と呼べるだけで充分なのだよ……」

クリスティーヌが欲しい、どうあってもクリスティーヌを自分のものにしたいとずっと願ってはいたが、

彼女の意思によって与えられるのでなければ、欲しくはない。

つい先刻あれだけクリスティーヌの気持ちを確認しているのに、

私は心のどこかで彼女の気持ちを疑ったままでいる。

いや、それだけではない、いくら彼女が幼い頃から私を慕ってくれていたと言っても、

それは彼女の父親の魂か父親が天国から遣わせてくれた音楽の天使としてであって、

生身の男だとは思っていなかったからだ。今、突然にその男の妻になれというのは、

まだ年若いクリスティーヌには酷なことのように思えた。


露骨な言い方ではなかったが、しかし、クリスティーヌは私の言葉の意味を

正確に理解したらしい。

「いいえ、マスター、私はあなたの妻ですわ……、ですから……」

終いまで言い切らずに、クリスティーヌが自分の手袋をはずした。


はずした手袋を丁寧に両手分重ねると、ベッドサイドのテーブルに揃えて置いた。

テーブルに伸ばした手が微かに顫えており、新婚初夜の花嫁というものは誰もみな、

同じように緊張しているものなのだろうかとふと考える。


続けて、私の贈った真珠の首飾りをはずそうと両手を首の後ろにまわした。

細い紐がうまくほどけないらしく、手こずっている。

しばらくぼんやりとその様子を見ていたが、ふと我に返り、

クリスティーヌの肩をそっと押して半身を向こうに向かせると、紐をほどいてやった。


紐をほどくのに髪を横に掻き分けたため、

目の前にかぼそくたおやかなクリスティーヌのうなじが白く輝いていた。

そのうなじに恐る恐る口づける。ぴくりとクリスティーヌの肩が揺れる。


「本当に……、嫌ではないのだね…………?」

もう一度、念を押すように聞いてみる。

返事はなかったが、クリスティーヌが微かに頷いたのがわかった。


ああ、クリスティーヌも私の妻になることを望んでくれているのだ……。

「勝利のドン・ファン」で彼女が私に身を凭せ、彼女の肩にまわした私の手に

自分の手を掛けてうっとりと寛いで見えたのは、決して私の独り善がりではなかったのだ……。

身のうちに湧き上がる歓喜に思わず目を閉じた。


ふたたびうなじに口づけた。そのまま首筋へと唇を這わせていく。

クリスティーヌの肩が激しく上下している。

荒くなった息遣いを整えるように大きく息を吸い込んだクリスティーヌの

胸の鼓動までが聞こえてきそうだった。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ……」

そう言う私自身も緊張のために手が顫え、ドレスの背紐をほどいていくのに手間取ってしまう。

昔風の腰まで続く背紐をすべてほどき、ふたつに分かれた身ごろを左右に開く。

うなじと同様、透きとおるように白い肩に口づける。

「あっ……」
小さく声を洩らし、肩を揺らして反応する彼女が愛しくて、もう一度肩に口づけた。


そのままコルセットのレイシングをゆるめる。

コルセットの背紐の隙間から覗くクリスティーヌの白い背中が眩しい。

「クリスティーヌ、こちらを向いて……」

背紐をゆるめたところで、そう彼女の耳元で囁くと、

クリスティーヌがゆっくりとこちらに向き直った。


背紐をほどかれ、頼りなく垂れ下がったドレスの胸元を引っ張り、上半身を抜く。

ゆるんだコルセットの脇ホックをはずした。

「本当にいいんだね……?」

念を押し、クリスティーヌが微かに頷くのを確認すると、コルセットを取り去った。


「ああ……」

羞恥に満ちた声を上げながらクリスティーヌが己の胸を両手で隠した。

眸を閉じ、わずかに顔を背けて肩で息をする彼女の白磁のような胸元が私の目を射る。

微かに蒼く浮き出た静脈がひどく艶かしい。

このまま両手をはずさせ、その美しい乳房を飽かず眺めてみたいという衝動を抑え、

スカート部分を引っ張ってようやくドレスを脱がせた。


両手で胸を隠したまま、されるがままになっている彼女からペチコートを取り去り、

シルクのストッキングも脱がせる。

手早く上着だけを脱ぐと、小さい下着ひとつになったクリスティーヌを抱きしめた。

胸を隠したままの両腕ごと抱きしめ、

「クリスティーヌ……、クリスティーヌ……、愛している……、愛しているんだ……」

と彼女の名を呼びながら、ゆっくりと彼女を押し倒していった。


豊かに広がった髪のなかに埋もれる彼女のほの白い顔を見つめる。

冷たく蒼ざめた頬をそっと撫でた。

そのまま指を滑らせ、薔薇のような唇に触れてみる。

あの夜、彼女が私への哀憐の涙を流しながら口づけをくれて以来、

私たちは今まで口づけを交わしたことはなかった。


ああ……、いつからだったろう、この唇が欲しくて欲しくてたまらなくなったのは。

彼女に稽古をつけながら、歌うために開かれるこの唇を熱い思いで見つめるようになったのは。

その唇が今、私のものになったのだ……。


私をじっと見返していたクリスティーヌの眸が静かに閉じられ、

私たちは二度目の口づけを交わした。

唇を触れ合わせるだけの優しい口づけを幾度か繰り返す。

彼女の温かい舌に触れたくて、そっと彼女の唇を舐めてみる。

戦慄くように彼女の唇が顫え、ようやく開かれた唇の間から深く舌を挿しいれ、

口腔の奥に隠れる彼女の舌を絡め取る。

歯列の裏をくすぐり、上顎に舌先をそよがせ、舌を絡ませる。


深い口づけにくったりと身体の力を抜いたクリスティーヌの両腕を取り、左右に開く。

「ああ……、マスター……」

恥ずかしそうに声を上げたクリスティーヌの白い乳房が顕わになる。

「クリスティーヌ……、綺麗だ……、本当に綺麗だ……」

思わず感嘆の声を上げる。

クリスティーヌが押さえられた両腕に力を入れたが、

それを無理に押さえつけ、美しい胸元に見入った。


透きとおるように白く、重量感をたたえた乳房、蒼く浮き出た静脈、

まだそれほどには色づいていない乳暈、そしてその頂に実る小さい果実……。

すぐにも手を伸ばし、その小さい果実を摘み取りたい衝動に駆られるのを

どうにか我慢し、そっと乳房に触れる。


「あ……」

ゆっくりと揉みしだく。

何度も何度も揉み上げながら、少しずつ指に力を入れていく。

彼女の息遣いが少しずつ荒くなる。

掌に感じる乳房の意外なほどの重量感に、己の息も上がっていく。


だんだんと、乳首を絞り出すように、指だけで揉みしだいていった。

少しずつ硬く熟していく小さな果実を摘み取るタイミングを見計らないながら……。

彼女の愛らしい乳首がようやく天を向いて屹立し、摘果の時期が来たことを告げる。

そっと乳首を指で挟むと、彼女が「……っ!」と息を呑んだ。

「こうされると感じるのだね?」と確かめるが、返事はない。

しかし、私の指の間でさらに硬さを増した乳首を摘まみ上げると、「ああっ……!」と切なそうな声が上がった。


摘まみ上げた指でそのまま、力を入れずにやわやわと先端を捏ねてやる。

「んっ、ふっ……」と、声を上げるのを我慢しているのか、切なげに小さな喘ぎ声を洩らすのが堪らなく愛らしい。

片方を弄りながら、もう片方を口に含む。

口に含んだ瞬間、「ああっ……!」と声を上げたのも初々しく、まだ何も知らないクリスティーヌに女体の秘密を教えていく喜びが全身を満たす。

「夫というものは、こうやって妻を悦ばせるのだよ……、知っていたかね?」

クリスティーヌが閉じていた瞼をうっすらと開け、とろんとした眸で私の方を見ながらかすかに首を振った。

半開きになった口元からは可愛らしい歯がわずかにのぞき、すでに身体は肉の悦びに支配されつつあるのに、懸命に私の問いに応えようとするクリスティーヌがいじらしくて、思わず身体をずらし、その可愛らしい口元に唇を重ねた。


舌を挿しいれ、クリスティーヌの舌を絡め取り、吸い、己の唾液を流し込む。

私の口づけに応えようとしているのか、クリスティーヌが私の胸にその小さな手を添えてくる。

その仕草も可愛らしくて、片腕で己の体重を支え、もう片手を彼女の手に重ねて握る。

クリスティーヌ、クリスティーヌ……、私の可愛い、大事な妻……。

私は熱に浮かされたように、何度も何度も彼女の名を呼びながら口づけを繰り返した。

ふたたび身体をずらし、口づけている間に柔らかさを取り戻しつつあった乳首を

口に含む。そっと乳首を吸い上げる。

「んっ……」

心地良さそうな吐息が彼女の口から洩れる。


もう一方は、先刻と同様に二本の指で優しく挟み、やわやわと捏ねてやる。

かすかに動かしているだけなのに指の間であっという間に硬さを取り戻し、

そればかりか、たまらぬげに少しずつ背が反って、胸を突き出すような格好になってくる。


「これが気に入ったんだね?」

「……ん、くぅ……」

「気に入ったんだろう?」

「……ん、あ、はぁっ……」

「答えないならやめてしまうよ……?」

「あぁ……ん、やあ……」

「やめては嫌と言うことかね?」

「…………」

「ふふ、まだ今夜が初めてだったな……」

私の意地の悪い問いに、切なそうに寄せられた眉根が艶かしかった。


私の指遣いに翻弄され、身悶えするクリスティーヌが愛しくて愛しくてたまらない。

充分硬さを取り戻した乳首をふたたび口に含む。

ゆっくりと乳首のまわりを舌でめぐると、果たしてクリスティーヌから

「んっ……、くぅっ……!」とひと際切羽詰った声が洩れ、声を我慢したい彼女の

意思とは相反して身体が男の愛撫に応えようと準備を整えていっているのがわかる。


舌で転がし、ゆっくりと舐め、そっと甘噛みし、優しく吸い上げる。

上下の唇で挟み、舌先をちろちろとそよがせる。

私の愛撫で薔薇色に染まった乳首が、唾液に濡れて顫える様がたまらなく艶かしい。

左右を替え、両の乳首に私の舌の感触を覚えさせる。


唇で愛撫していない方の乳房を円を描くように揉みしだき、親指の腹で頂点をこすり、

人差し指の爪先で先端をそっと引っかき、二本の指でつまみ上げてやる。

やわやわと力を入れずに先端を捏ね、人差し指で転がしてやる。


「んっ、ああっ、ああ……、やあっ……ん」

今でははっきりよがり声とわかる声を上げ、胸を突き出したまま身を捩って身悶えている。

充分クリスティーヌの身体に火を灯したことを確認すると、

彼女の最後を守る小さい下着に手を掛ける。

「ああ……、マスター…………」

「クリスティーヌ……、嫌かい? 嫌なら……、今なら、引き返せる。

だが、この先は……、この先に進んだら、もう私を止めることはできないよ……。

……どうするね?」

ややあってクリスティーヌが首を横に振った。

「やはり、嫌なのだね……? 大丈夫、おまえが嫌だと言っても無理はない……、

いくら私を慕ってくれていると言っても……」

そこまで言ったところで、クリスティーヌが私の袖を捕らえ、激しく首を振った。

「……?」

「いいえ、いいえ、マスター、……わたしは……、あなたの妻です……、

どうか、わたしを……、あなたの、妻にして……、くだ……さ……」

最後は消え入りそうになりながら、クリスティーヌが言った。


「本当に嫌ではないのだね? 後悔しないのだね?」

この地上のいるすべての人間が私との交わりを望まず、

まして女性なら私に指一本触れられたくないはずだとわかっている私には、

どうしてもクリスティーヌの言葉が信じられず、執拗なほど確かめたくなってしまうのだ。

しかし、眸を閉じながら頷いた彼女の、私のシャツの袖をしっかりと握った手を見て、

クリスティーヌだけはこの私を本当に愛してくれているのだと思い直す。


クリスティーヌの手をほどき、己の衣服をすべて脱ぎ捨てるとふたたびベッドへ上がった。

クリスティーヌの隣に横たわり、彼女をそっと抱き寄せる。

折れそうなほどに細い彼女の腰を引き寄せ、耳元で囁くように聞いてみる。

「本当に……、いいんだね?」

我ながらあまりにしつこいとわかっているのだが、最後の最後になって彼女から拒絶されるのが

怖くて、つい言葉が出てしまう。ここまで自制できないことは初めてだった。

私のしつこさを責めもせず、腕のなかで小さく頷いてくれたクリスティーヌを胸に抱くと、

彼女の髪の甘い香りが鼻腔をくすぐり、不安でいっぱいになっていた私の気持ちを鎮めてくれた。


彼女の髪に頬を寄せ、そっと口づけを落とす。

私の腕のなかで顔を上げたクリスティーヌのやわらかそうな唇にも口づけを落とす。

乳房をゆっくりと揉み、乳首をそっと捻ると、鎮まりつつあった官能にふたたび火が灯ったらしく、

甘い吐息とともにあえかな喘ぎ声を洩らし始めた。


胸への愛撫であっという間に身体を捩り始めたクリスティーヌの下着に掛ける。

そろそろと下へずらしていく。

男の手で下着を剥ぎ取られていく羞恥に、両手で顔を覆っていやいやをするように首を振りながら

耐えているクリスティーヌの肌がしっとりと汗ばみ、さらに上気していくのがわかる。

最後に脚から下着を取り去るとき、恥ずかしさに全身を戦慄かせながら「ああ……」と

切なげな声を上げたクリスティーヌを、愛おしさでいっぱいになりながらきつく抱きしめた。




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